抜歯した犬歯はインプラント治療が最適!費用・期間・他の治療法との比較

顔の印象を左右し、噛み合わせの要でもある「犬歯」を失うと、見た目の問題だけでなく、食事や他の歯への負担増加など、様々な悩みが生じます。
失った犬歯を補う治療法としてインプラントは非常に有効です。
この記事では、京都市のいのうえまさとし歯科医院が、犬歯の重要性から、インプラント治療の特徴、他の治療法(ブリッジ・入れ歯)との比較まで、詳しく解説します。
費用や治療期間についても触れていきますので、犬歯の治療でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
犬歯とは切歯と臼歯の中間にある歯のこと
犬歯とは、別名「糸切り歯」とも呼ばれる人間の永久歯のことです。
永久歯は部位ごとに名称が異なり、前歯を「切歯(せっし)」、奥歯を「臼歯(きゅうし)」、その中間に位置する槍状の鋭い歯を「犬歯(けんし)」といいます。
犬歯は、上下顎にそれぞれ2本、計4本生えており、前歯から数えて3番目に位置しています。
犬歯は奥歯を守り下顎の位置を決めるなどの役割がある
見た目だけでなく、お口全体の機能において非常に重要な役割を担っています。
- 食べ物を切り裂く:
尖った形状で、肉などの食物を切り裂き、噛み砕くのを助けます。 - 噛み合わせのガイド:
歯ぎしりや横への動き(側方運動)の際に、奥歯が強く当たりすぎないようにガイドする役割(犬歯誘導)があり、他の歯や顎関節を守ります。 - 顔の印象・口元の支え:
口角(口の端)を支え、自然な口元のラインを作る上で重要です。
犬歯がなくなると、口元がへこんだ印象になったり、ほうれい線が目立ったりすることがあります。 - 歯並びの要:
歯列のコーナーに位置し、全体の歯並びのバランスを保つ役割もあります。
このように重要な犬歯を失うと、見た目の問題だけでなく、他の歯への負担増加、噛み合わせのズレ、顎関節への影響など、様々な問題を引き起こす可能性があるのです。
犬歯を抜歯すべき4つのパターン
厚生労働省が公表する「全国抜歯原因調査結果」(全国2,345の歯科医院で行われた調査)によると、抜歯の原因で最も多いものが「歯周病」で37%、次いで「むし歯」が29%と発表しています。厚生労働省:e-ヘルスネット 歯の喪失の原因
犬歯は最後まで残存しやすいものの、上記のような状態の際は抜歯が必要になります。
ほかに考えられる原因と合わせて、犬歯を抜歯すべき4つのパターンを解説します。
1. 歯周病
歯周病は、歯と歯茎の間で歯周病菌が増殖することで発症する病気です。
歯周病が進行すると、歯の根本部分の骨が溶ける歯周炎となり、歯がグラグラと揺れ始めます。
犬歯のように神経が長い歯でさえ揺れるほど歯周病が進行している場合には、抜歯すべき目安の1つとなります。
2. 重度の虫歯
虫歯も神経に到達し、さらにその先の骨の中で増殖するほど重症化している場合、抜歯の目安となります。
ここまでくると、神経を抜いて被せものをすることさえ難しい状態といえます。
3. 犬歯が折れたとき
歯が折れることを「歯牙破折(しがはせつ)」といいます。
歯の折れ方には2つのパターンがあり、白い歯の部分が折れる「歯冠破折(しかんはせつ)」と、歯茎の中の根本が折れる「歯根破折(しこんはせつ)」があります。
後者の「歯根破折」の際は抜歯が必要となります。
4. 犬歯が八重歯のとき
八重歯とは、歯がずれて生えている状態のことで、特に犬歯に多く見られます。
八重歯の生える場所が悪く口腔内を傷つけている、歯茎に埋没してしまっているなど、犬歯を抜かないと口腔内の問題を解決できない際は、抜歯が検討されます。
犬歯を失った場合の治療選択肢
失った犬歯を補う主な治療法には、インプラント、ブリッジ、入れ歯(部分入れ歯)があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。
- インプラント:
顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法。 - ブリッジ:
失った歯の両隣の健康な歯を削って土台にし、連結した被せ物を橋(ブリッジ)のように架ける方法。 - 入れ歯(部分入れ歯):
周囲の歯に金属のバネなどをかけて固定する、取り外し式の人工歯。
【徹底比較】インプラント vs ブリッジ vs 入れ歯
それぞれの治療法について、メリット・デメリットを詳しく比較してみましょう。
比較項目 | インプラント | ブリッジ | 部分入れ歯 |
見た目 | 天然歯に近く自然で美しい | 材質により自然に見えるが、連結部は不自然さも | バネが見えることがあり、人工歯と分かりやすい場合がある |
噛む力 | 天然歯とほぼ同等に回復 | 天然歯の6~8割程度 | 天然歯の2~4割程度 |
残存歯への影響 | なし(周囲の歯を削らない) | 両隣の健康な歯を削る必要がある | バネをかける歯に負担がかかる |
違和感 | ほとんどない | 慣れれば少ない | 異物感、話しにくさを感じやすい |
治療期間 | 長い(数ヶ月~1年程度) | 短い(数週間~1ヶ月程度) | 短い(数週間程度) |
手術 | 必要 | 不要 | 不要 |
費用(初期) | 高額 | 中程度 | 比較的安価 |
費用(長期) | メンテナンス次第で長持ちし、結果的に割安な場合も | 土台の歯が虫歯等になると再治療費がかかる | 作り替えや修理が必要になる場合がある |
寿命(目安) | 10年以上 (適切なメンテで半永久的な可能性も) |
7~8年程度 | 4~5年程度 |
メンテナンス | 天然歯同様のケア+定期検診が必要 | 連結部の清掃が難しく、歯周病・虫歯リスクに注意 | 取り外して清掃、定期的な調整が必要 |
適応 | 顎の骨の状態による (骨造成で可能な場合も) |
両隣に健康な歯が必要 | 比較的多くのケースで適応可能 |
インプラントは初期費用や治療期間がかかりますが、見た目の美しさ、噛む機能の回復、周囲の歯への負担がない点で、他の治療法より優れた選択肢となることが多いです。
犬歯をインプラント治療する3つのメリット
犬歯は口を開けると目立つ部分にあるため、治療の際は実用性が高いだけでなく、見た目が良いことも大切です。
犬歯をインプラント治療する4つのメリットを解説します。
1. 目立ちにくく審美性に優れる
犬歯は前歯に近い部分にあるため、食事や会話の際にも目につく部分です。
そのため、治療の際は見た目が美しいことも大切です。
部分入れ歯やブリッジでは、フックの金具が目立つ、裏側の金属が見えてしまうことがあり、審美性に劣る点がデメリットです。
その点、インプラントではセラミットの義歯をアバットメント(土台)に被せるため、金属が見えることがありません。
美しく自然な仕上がりとなるため、前歯など口元の歯の治療に適しています。
2. 周囲の歯を削らず治療できる
犬歯をブリッジで治療する場合、前歯や隣の歯を削らなくてはいけません。
歯を削ることは、虫歯や痛みのリスクを伴います。
インプラントなら、犬歯を抜いた後の顎骨にインプラント体を埋め込むだけなので、ほかの健康な歯を残したまま治療ができます。
3. 噛む力が維持できる
ブリッジだと、削った周囲の歯に負担がかかるため、咬合力を維持するのが困難です。
特に犬歯は、食べ物をかみ切る、周囲の歯を守るといった役割もあるため、耐久性の高さが求められます。
インプラントなら、顎骨と癒着したインプラント体を利用するため、天然歯と同程度の噛む力を維持できます。
犬歯インプラントの費用について
インプラント治療は基本的に自由診療(保険適用外)のため、費用は歯科医院によって異なります。犬歯の場合も、特別な追加料金がかかるわけではありませんが、骨造成などが必要になると費用が加算されます。
当院での治療の場合、おおよその費用の目安は53万円~64万円になります。
【費用の内訳】
- 診査診断料(CT撮影など含む)
- インプラント埋入手術料
- アバットメント(土台)
- 上部構造(人工歯/被せ物)
- 骨造成などの追加処置(必要な場合)
総額費用は、治療計画や使用する材料、追加処置の有無により大きく変動します。
また、インプラント治療費は、所得に応じて医療費控除の対象となり、税金の還付を受けられる場合があります。詳しくは国税庁のHPや税務署にご確認ください。
当院では、治療開始前に治療計画と詳細な見積もりをご提示し、費用について丁寧にご説明いたします。 分割払いのご相談も承っておりますので、お気軽にお尋ねください。
まとめ:後悔しない犬歯治療のために
犬歯は、お口の機能と見た目の両方において非常に重要な歯です。失った犬歯をインプラントで補うことは、天然歯に近い機能と審美性を回復できる優れた治療法ですが、その特性や難易度を理解し、信頼できる歯科医院で適切な治療を受けることが重要です。
いのうえまさとし歯科医院では、精密な診査診断と確かな技術、そして患者様との丁寧なコミュニケーションを通じて、ご満足いただける犬歯インプラント治療を提供できるよう努めております。
犬歯を失ってお悩みの方、インプラント治療を検討されている方は、ぜひ一度、当院のカウンセリングにお越しください。あなたの疑問や不安に、経験豊富な歯科医師が丁寧にお答えします。
この記事の筆者
いのうえまさとし歯科医院
京都の「いのうえまさとし歯科医院」はインプラントを得意とする歯科医院です。20年間で7500件以上の治療実績があり、大手インプラントメーカー2社の公認インストラクターである院長が、あらゆる症例のインプラントのご相談を承ります。
またマウスピース矯正、ホワイトニング、一般歯科など幅広く対応しております。
いのうえまさとし歯科医院へのアクセス
京都市営地下鉄烏丸線「北大路駅」より徒歩20分